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2012.02.21

【活動報告】2月17,18,19日 ―リクルート復興支援ツアー①

2月17日から19日までの3日間、南三陸町でリクルート復興支援ツアーが行われました。
もともとリクルートの企業CSR担当が主催してきたこのツアー。
今回は、復興応援団の「農業で被災者雇用応援プロジェクト(南三陸・歌津地区)」に参加していただく形での開催となりました。
リクルートからの参加者は38人。応募の段階ではそれ以上の人数が集まっていたそうです。
応援団は当日の運営や小野花匠園さんでの作業の指示出しを担当しました。

まずはツアー1日目。
この日は夕方からホテル観洋(南三陸町)で、復興応援団代表の佐野と、小野花匠園のご主人、小野政道さんの2人によるパネルディスカッションが開かれました。
参加者のリクルートの皆さんは真剣に話に聞き入っていました。
パネルディスカッションの中では、復興応援団の活動や、小野さんの取り組む雇用創出のための事業、今回のプロジェクトの目的が話されました。
「車でホテル観洋の前まで来たけど、怖くてそのまま通り過ぎようかと思ったんすよ~」と話していた小野さん、
かなりの緊張感だったようですが、パネルディスカッションを通して、その素朴な人柄や地元の復興に対する熱い思いがリクルートの皆さんにも伝わっているように思いました。

ここで少し、小野さんのお話の内容を紹介したいと思います。

震災直後、津波の被害をなんとか免れた小野さんの家では、
23人の避難者を受け入れたそうです。これには参加者の皆さんからも驚きの声があがっていました。
「家に支給された7人分の支援物資と、流されてきた冷蔵庫の中に入っていた食料を全員で分け合って食べました」
と話す小野さん。行方不明者の捜索を手伝っていた時、気がかりだったのはハウス内のトマトのことでした。
ハウス内の温度管理ができなくなっていたため、「もう収穫は無理だと思った」そうですが、
数日後に見に行ってみると、苗には花が。
受け入れている避難者に協力してもらい、何とか収穫までこじつけました。これが「はるちゃんトマト」です。
その後、友人に依頼してHPを開設し、菊とトマトのネット直販を開始。
その利益で昨年秋の雇用をまかないました。

小野さんは、地元の被災者から
「家が無くてもいいから仕事が欲しい」という話を聞き、仕事を無くしたことの絶望感を感じました。
そのことから、自分の事業を拡大することによる被災者の雇用で、南三陸の復興に貢献しようと思ったそうです。

今年のトマトの直販プロジェクトによる目標売上は360万円。
小野さんは、これによって若手の従業員を1,2名雇用したいそうです。
そこには、農業に対する小野さんのもう1つの思いがあります。
「今、農業をやってるのは自分より1つ2つ上の世代。昔ながらの、農協を通しての販売が多い。自分で値段を決めて直販することで、『農業でも食べていけるんだよ』ということを若い人に伝えたいんです。そうすることで、将来の農業を強めていきたいと思います」
将来的には、栽培部門は若手に任せ、小野さん自身は外部とのつながり役となって、直販先の開拓を行いたいそうです。それを通して、若手に農業のノウハウやメッセージを伝えていきます。
さらに、小野さんが直販先を広げ、外部とのつながりが多くなれば、
そこからの情報を集約して、南三陸の他の農家にも情報を提供できるようになります。
“おろし問屋”のような存在として、直販のマッチングを行うことができます。
また、小野さんの活動を見た同世代の他の農家も同じような取組みを始めるかもしれません。
その波及効果によって、南三陸全体の復興を支えることを目指しています。

小野花匠園自身だけでなく南三陸の農業全体を盛り上げようとする小野さんの思いや、
目先のことだけでなく、長期的なビジョンを持ったその取組みは、とてもすばらしいものだなと感じました。
参加者のリクルートの皆さんからも、次々に質問の声が上がり、
その後の交流会では、小野さんの周りにたくさんの人が集まりました。
小野さんの活動に共感し、応援する“ファン”がまたまた増える、とても良いパネルディスカッションとなったと思います。

復興応援団の「農業で被災者雇用応援プロジェクト」では、
そんな小野さんの取り組むトマト事業のプロセスの一部に関わることで、
小野さんとトマトのファンになり、そのつながりによって、長期的に事業と被災者雇用を応援することが目的です。
リクルートの皆さんも2日目以降の作業に向け、モチベーションが高まっていたようでした。

⇒②につづく

(下澤大祐)

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