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2012.02.27

枯れ木に花を

昨日2月26日(日)、気仙沼市の大川沿いで、桜並木の剪定作業をお手伝いしてきました。
今回は、団スタッフ3人と、先日の鍋パーティーにも参加してくださった瀧澤さんの計4人でのプロジェクトでした。

この大川の桜並木は、昨年12月の「観光資源復活プロジェクト♯10」の際にも、
並木道の清掃をお手伝いした場所です。

前日に降った雪が残る中、この日は、僕たちの他にも、県外からのボランティア参加者や、地元の方など、計30人ほどが早朝に集まりました。
この桜の剪定は、地元の「桜並木を保全する会」を中心に毎年行われてきたそうで、
1日をかけて、できる範囲の桜の木々を剪定します。

全体に指示を出すのは「桜並木を保全する会」会長の橋本恒宏さん。

気仙沼市の大川沿いは桜の名所として知られ、毎年春には「さくらまつり」が開催されてきました。
しかし、震災によって、桜の3分の1が津波で流されたり、火災で焼失したりしました。
それでも、作年春には残った木に花が咲きました。
「桜は強いんだ~。もう50年もここにあっからな~。しっかり根をはってるんだな」
一緒に作業したお父さんが笑って話していました。

木の混み具合を調整しながら、チェーンソーで大きな枝を切っていきます。
切った枝の断面には薬が塗られます。

1本の木でも、かなり多くの部分を剪定するので、
1日がかりでも4本程度の剪定です。

僕たちボランティアの参加者は、
切られた枝をさらに細かく切ったり、縛ったりすることで、
処分しやすいようにする作業をしました。
大量の桜の枝を次から次に、のこぎりで切り、ひもで縛っていきます。
枝には小さな花の芽を見つけることができました。

お昼には、「桜並木を保全する会」のお母さん方による、豚汁とおにぎりがふるまわれました。
心も体も温まります!

切られた枝のうち、大きなものは木炭にされます。
トラックに積み込み、運び込んだ先は、気仙沼市の旧月立小学校。
3月には、「炭焼き体験会」というイベントが開催され、、
ここにある炭焼き窯を使って、今回剪定した枝を炭にします。

桜並木がある内の脇地区では、以前から地域の住民をあげて桜を守ってきたそうです。
10年前には、「桜並木を保全する会」が立ち上げられ、毎年剪定作業を続けてきました。
作業は地区の住民が集まる“集いの場”でもあったようです。

昨年3月11日、今回の作業の拠点となった、川沿いの橋本工務店付近にも津波は押し寄せました。
工務店の壁には、今でも2m以上の高さに津波の跡が残っています。
津波により、内の脇地区の住宅の多くが被害を受けました。
地区から別の場所に移り住んだり、仮設住宅に入居した人も多く居ます。

作業の合間、お茶を準備してくれたお母さんは、
「震災によって地域の人が居なくなってしまうのはさみしいです。でも今日は、別の地区の息子さんの家に移り住んだおじいちゃんが、『毎年(剪定作業に)出てるから』ってことで、戻ってきてくれたんですよ」と話します。
この桜並木は、何年にもわたって地域の人を結び付ける役割を果たしてきました。
そしてこれからも、離れてしまった人の心をつなぐ存在として、咲き続けるはずです。

今春、4月22日には、2年ぶりとなる「さくらまつり」が開催されます。
今はまだ小さい芽ですが、それでも確かに、力強く、つぼみは膨らみ続けています。

(下澤大祐)

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